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村松 劭(むらまつ つとむ)

『戦争学』

本のデータ
著者: 村松 劭
読み: むらまつ つとむ
題名: 『戦争学』
出版: 文春新書
発行: 1998
個人データ
読了: 2000/10/M
評価: C: ★★★
感想:
冷戦は終わったものの、朝鮮半島の情勢を見ても分かるように、戦争の危機はすぐそこにある。在日米軍との共同作戦計画にも携わった自衛隊・元作戦幕僚の著者がが、古代から核戦力の時代までの世界の戦史をたどり、ジンギス・カーンやナポレオンなどの戦い方を始め様々な戦闘を検証して、戦争のメカニズムを明快に説いた、類書のない画期的な戦略戦術教本。経営戦略に、或いは人生の知嚢としての役立ちます。

納得したのは、戦争を火災に喩えた著者の言葉。いくら火災を防ぐための努力をしても、消防活動をやめるわけにはいかない。火災は起きるのだから、消防団がなくなったら困る。戦争を避けるための努力は必要であるが、それは軍隊をもたなくてよいことの理由にはならない。・・・なるほど。

後は、カバーの裏表紙にも書いてあるように、編集者の「経営戦略に『役立ちます』という意図が見えて面白くない。ちょっと新鮮な目で世界史を見ると違った世界が広がる、という知的興奮もあるけど、このせいで減点。著者が「戦術」と「戦略」の違いを説明しているのに、帯のコピーを書いている人はそれを理解していないのも幻滅。著者ははっきり「おもに戦術について書きます」といっているのに。

ちなみに、著者の言葉では

戦略
戦場における勝利のためのリスクを最小限にするように事前に準備し、また戦場における勝利の果実を最大限に活用する策略
戦術
戦場において最大のリスクに挑戦し、最大の勝利を獲得するための術
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