著者: | 帚木 蓬生 |
読み: | ははきぎ ほうせい |
題名: | 『臓器農場』 |
出版: | 新潮文庫 |
発行: |
読了: | 2001/02 |
評価: | B: ★★★★ |
感想: |
無脳症児。生まれつき脳がないため、生まれてもすぐに死んでしまうほかない存在。その無能症児の臓器を、臓器移植に使うことは倫理的に許されることだろうか?というテーマを投げかける小説。 無能症児を生む母親は、自分の妊娠が無駄・無意味ではなかったと罪悪感や無力感から逃れることが出来、臓器移植以外に助かる方法はない重症の病気をもった子供とその親は感謝する、、、どこがいけないのか?この問いはとても深い。 しかし、この作品はそれを妙な悪者(金儲けのためには何でもする)を登場させ、彼らに無能症児の「飼育」をさせてわかりやすい「人工的に無能症児を作るのはいけない」という問題にすりかえてしまう。最初の問い、「生まれてきてしまった無能症児の臓器を活用することは良いことか」から焦点をずらしてしまう。それが残念。 |