著者: | 姫野 カオルコ |
読み: | ひめの かおるこ |
題名: | 『喪失記』 |
出版: | 角川文庫 |
発行: | 1998(1994) |
読了: | 2001/06/02 |
評価: | A-: ★★★★★ |
感想: |
処女三部作の第二部。 男に飢えているのに体にしみこんだカトリックの規律がそれを許さない。結果、33歳の処女。そんな理津子の前に現れた、本能のままに生きる男大西は「正反対は似る」。美しく悲しい。神父さんから聞かされたあるべき姿と自分の欲望と周りの人間の生き様のずれとうまく折り合えず苦悩する姿を残酷に真摯に描いている。 姫野のいう男に飢えている、とは「男の精液ではなく『私は女として存在していいのかという』自らの内にある問いに対する答え」に飢えているということ。(あとがきより) 主人公たちはこうも語っている。 「彼女は正論を吐かないからあなたを勃起させることができたのよ」 「好きな女がいたら、そいつを抱きたいと欲情できるような男になれたらどんなにいいかと、いつも思ってた」 |