著者: | 佐藤 正午 |
読み: | さとう しょうご |
題名: | 『ビコーズ』 |
出版: | 光文社 |
発行: | 1988 |
読了: | 2001/06/17 |
評価: | C+: ★★★ |
感想: |
一作目がヒットしたものの、第二作がさっぱり売れず、さらに三作目の執筆も上手くいかずいらだつ毎日。 家族を長らく支配してきた祖母。その祖母と徹底的に戦ってきた叔母。 親友と彼女との三角関係にケリを付けようと計った10年前の睡眠薬心中。 劇的な解決が空から降って来ない時、人は苛立ちとどう折り合いを付けるのか。 あきらめる、耐える、見えぬふり、、、 叔母に相談に乗ってもらうことで爆発だけはしないようにしてきたが、逆に根本的な解決からも逃げていた。そこに10年前の親友が現れて、逃げられなくなってしまう。 最初に読んだ『ジャンプ』をイメージするのがよくないのか、ピンとこない。 むしろこういった作品の方が佐藤の本流なのかな? うだつのあがらない男のうやむや、くよくよ、いらいら、じれったさ、やるせなさ、それでもそれらを引き受けて、少しばかりの希望と共に生きてゆく姿というのは素晴らしくよく描けているのだけれど、今の僕が読みたいものではない。 |