著者: | 斎藤 美奈子 |
読み: | さいとう みなこ |
題名: | 『紅一点論』 |
出版: | ちくま文庫 |
発行: | 2001(1998) |
解説: | 姫野 カオルコ |
読了: | 2001/10/10 |
評価: | B+: ★★★★ |
感想: |
子供向けのアニメと伝記を題材にしたジェンダー論。面白い。 子供向けの強力なメディアに潜む男の「女はこうであって欲しい」という願望が「職場の花」「お父さんにとってのかわいい娘」「聖女」「悪女」として登場する姿を痛快に描いてみせる(どれも男の現在の地位を脅かさない)。見えない教育の恐ろしさ。 主要なアニメや怪獣番組はみんな槍玉にあげられる。 ガッチャマンシリーズ、ウルトラマンシリーズ、宇宙戦艦ヤマト、ガンダム、エヴァンゲリオン、もののけ姫、ドラえもん、秘密のあっこちゃん、セーラームーン、ディズニー、などなど。 伝記編ではジャンヌ・ダルク、ナイチンゲール、キュリー夫人、ヘレン・ケラーがとりあげられる。子供向けに書きなおされた読み物の危うさを指摘した書としても出色。 アニメ編はかなり日本文化論になっている側面があるのに、伝記編では世界が相手。日本アニメが世界中でヒットしている点に関する考察が欲しかった。一般的には暴力シーンとお色気シーンばかりが批判されているアニメに、それ以外の切り口から取り組んだすばらしい評論なのだから。 ちょっとふざけた感じの語り口が気になるけど、これが斎藤美奈子のスタイル。 姫野カオルコの解説は興醒め。 |