著者: | Carmi, Daniella |
読み: | ダニエラ・カルミ |
翻訳: | 樋口 範子 |
題名: | 『六号病室のなかまたち』 |
出版: | さ・え・ら書房 |
発行: | 2001(1994) |
読了: | 2002/01/03 |
評価: | C+: ★★★ |
感想: |
パレスチナ人の男の子がイスラエルの病院に入院し、普段の生活との落差や見舞いに来てくれない(来れない)両親や殺されたor見殺しにした弟への思い、気むずかしかったり頼りになったりする同室の子供たちなどと苦しみながら接点を見つけて成長していくお話し。 児童文学ということなんだけど、読んでその重さにまず圧倒されてしまう。日本語はそれなりに柔らかくなっているけど、表現を柔らかくしてもにじみ出てくる、隠しきれない圧倒的なパレスチナの現実が伝わってくる。これが児童文学であることの意味を理解できなかった。 時代とか、洋の東西とか、戦時下などの状況とか、そういった背景がインパクトを与える子供の世界と、そういったものに左右されない確固とした子供の世界の双方をバシッと見せてくれる骨太の作品。 表紙の絵はいいけど、章ごとの鉛筆挿し絵が作品を台無しにしている。 |