| 著者: | 梨木 香歩 | 
| 読み: | なしき かほ | 
| 題名: | 『からくりからくさ』 | 
| 出版: | 新潮文庫 | 
| 発行: | 2002(1999) | 
| 読了: | 2002/01/05 | 
| 評価: | C+: ★★★ | 
| 感想: | 不思議な人形を軸に、一軒家に同居する四人の女性が織りなす生きること、引き継ぐこと、伝えること。 染色、機織り、その図案、絵描き、能の面作り、人形作り、といった芸術がモチーフになっているが、それが単なる芸術ではなく同時に生きるために必要なもの、生活の中で伝えられてきたものでもあることを同時に静かに主張する。 それなりにいい作品ではあるけれど、小説としてやってはいけないことをやってしまっている -- 作者が主要登場人物の心に自由に出入りして心情を吐露する。そのため読んでいて混乱するし、作品全体としてバラバラに引き裂かれたままだし、不愉快になる。作者といえどもやってはいけないこと、という20世紀文学の約束を踏みにじって失敗しているので痛々しい。 |