著者: | 小川 洋子 |
読み: | おがわ ようこ |
題名: | 『シュガータイム』 |
出版: | 中公文庫 |
発行: | 1994(1991) |
読了: | 2002/04/09 |
評価: | B+: ★★★★ |
感想: |
突然過食症になってしまった女子大生の主人公。思い当たる心因性の原因はない。それでも食べる食べる食べる。そうこうしているうちに彼氏に女ができ異母兄弟の弟の美しさに気がつき、これが青春なのねと気がつく。 と書くと非常につまらなさそうに見えるが、小川洋子ならではの静謐さにあふれた作品。 「すとん、とした静けさが一瞬訪れた。」 という表現は、親友が自分の過食に一度だけ付き合ってくれたとき、夕食を食べ終わった後の描写。何も言わないで付き合ってくれた嬉しさをこう表現している。
この小説のクライマックス(とはいっても至って平穏な柔らかさのうちにあるのだが)に出てくるセリフ。 あまりに言い得ていて、それでいて作品全体のトーンをぶちこわしている。こんなお下品な表現は似合わない。でも、ど真ん中のストライク。それが小川洋子。 |