著者: | 重松 清 |
読み: | しげまつ きよし |
題名: | 『幼な子われらに生まれ』 |
出版: | 幻冬社文庫 |
発行: | 1999(1996) |
読了: | 2002/04/05 |
評価: | B+: ★★★★ |
感想: |
再婚した主人公が、前の結婚で生まれた子供、今の妻の連れ子、今の妻との子供、そして今度生まれて来ようとする子供、という3人の娘と新しい命に向き合うことで親子、家族の意味を問い直す。 キャリアウーマンとして輝いている前妻と、特に取り柄もない平凡な専業主婦である今の妻との比較をしてみたり、明るくしっかり者の前の結婚の娘が「今のお父さん」に向き合う微妙な距離感を自分の今の妻の連れ子のそれと比較してみたり、えぐいことを重松らしいタッチで見せてくれる。 予定調和的なハッピーエンドはやや作品全体の「格」を下げてしまっている部分もなきにしもあらず。村上龍なら破壊破滅を突きつけるところかもしれないが、作品全体を通しての穏やかな倦怠感と幸福感があるので十分。 |