| 著者: | 鈴木 清剛 |
| 読み: | すずき せいごう |
| 題名: | 『ラジオデイズ』 |
| 出版: | 河出文庫 |
| 発行: | 2000(1998) |
| 受賞: | 第34回文芸賞受賞 |
| 読了: | 2002/05/02 |
| 評価: | C+: ★★★ |
| 感想: |
小学校時代にさんざんいじめられた思い出しかないアイツがなんと、今になって僕のアパートにころがりこんできた。いじめた方は覚えていなくてもいじめられた方は忘れていない。しかし、今は僕が宿主でアイツが居候。10年の歳月もそれなりに僕を強くしている。つい卑屈になりそうになったり、弱みを見せまいと強がってみたり、ぎこちなく歯がゆい。もっともアイツはそんな僕の心の中などお構いなし。どうやら誰かに弱みを握られているようなそぶりさえ見せる。僕の彼女がやけに彼を買っているのも面白くない。どう接するべきなのか、僕の小さな胸はかきみだれる。 とはいっても、日常は日常として毎日流れていく。工場での単調な、でも立派な仕事もある。そんな普段着の、小さな小さな和解と克服の物語。 |