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北村 薫(きたむら かおる)

『冬のオペラ』

本のデータ
著者: 北村 薫
読み: きたむら かおる
題名: 『冬のオペラ』
出版: 角川文庫
発行: 2002/05(2000/02, 1993/09)
個人データ
読了: 2002/06/05
評価: A: ★★★★★
感想:

再読。

名探偵、巫(かんなぎ)の活躍をワトソン君役の「私」が語る探偵物語三篇(探偵「小説」ではなく「物語」)。

「私」が18才~20才の年齢であることによって水々しさが、社会人一年生であることによって大人の社会の微苦さが、親と死別していることによって人と人の絆が、それぞれ強く浮かび上がる印象的な作品になっている。

P.10 勤め先のお隣は、中華のお店である。ショーケースの前できゅっとブレーキをかけ、自転車を停める。調理見本のラーメンが、どんぶりと大きさが合っていない。スープが縁から離れた形で固まっている。その上にうっすらとほこりが乗っている(でも、このお店のラーメンはおいしい。)
 それを、いつかはスープと丼がよりを戻す日が来るかのように、毎日ちらりと眺めつつ、ごく細い路地に自転車を転がして入る。
P.164 おそらくは、誰にもいえなかったことを、しかし、誰かにはいっておきたかったことを、椿さんは、わたしに向かって話しているのだ。
$Revision: 1.4 $, $Date: 2003/06/29 20:33:37 $

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