著者: | Hammer, Michael |
読み: | マイケル・ハマー |
著者: | Champy, James |
読み: | ジェームズ・チャンピー |
題名: | 『リエンジニアリング革命』 |
出版: | 日経ビジネス人文庫 |
発行: | 2002/11(1993/11) |
読了: | 2002/11/23 |
評価: | B+: ★★★★ |
感想: |
素早い身動きのとれない大企業。原因は分断化専門化されすぎてしまったことにある、解決策は「ビジネスをリエンジニアリングする革命」しかないという。 非常にわかりやすい。銀行にローンを申し込んだとする。窓口にいるのは単なる受付で、取り次ぎしかしない。次にあうのは営業だろう。いろいろな商品を勧めてはくれるが、その場でお金を貸してくれるわけではない。審査があるのだ。審査をするのはまたその専門家。審査が通ってもまだ早い。部長や支店長の決済が必要だ……。家を建てるという例(たと)えもいいかもしれない。建築家、不動産屋、ハウスメーカー、左官屋、工務店、内装屋(?)、庭師、ペンキ屋、役所、税務署、消防庁、、、一箇所で一つのルールで片付いたらいいのに。 要するに、こちらは一人なのに向こうは誰も最初から最後まで一貫して責任を持つひとがいないのだ。みんな自分の役割の範囲の中でだけ働いているため、顧客の要望に質でも量でも時間でも応えられない状況に陥っている。「それは営業の仕事でしょう。」「あの人が書類を書いてくれないから進まないんですよ。」「いくら説明してもちゃんと窓口を通してくれの一本やり。」----うーん、思い当たるなぁ。 部分最適が進みすぎて全体最適が失われてしまった状態だといえる。顧客の満足度はもちろん低い。しかしそれだけではなく、同時に従業員の満足度も低いことに着目しなさい、という。ここがいいところ。『マクドナルドかする社会』(エリック・シュローサー)を連想させる。ビジネスプロセスを最適化しようと、マニュアル化と単位の分割化明確化をどんどん推し進めると、人は自分がdumb terminal(インテリジェントじゃない機械)になったように感じ始める。自分がいましている仕事がなんのための仕事なのかがさっぱりわからないため、考えることをストップして単純な繰り返しに落ちていく。やりがいのない作業が面白いわけがない。 では、どのように変えていくのか、という部分はまあ、よくできたビジネス書で、いくら成功事例と「あなたもいますぐ自分の会社で始めましょう」と言われてもなぁ。せめてこの本を薦めること、この本に書いているマインドを忘れないことくらいか。 |