著者: | 貫井 徳郎 |
読み: | ぬくい とくろう |
題名: | 『慟哭』 |
出版: | 創元推理文庫 |
発行: | 1999(1993) |
読了: | 2002/12/19 |
評価: | B+: ★★★★ |
感想: |
奇妙に交差しながら進む二つのストーリー。一つの主人公は刑事。連続幼女殺人事件を追っている。もう一つの主人公は犯人ということが徐々に明らかになっていく。ところが、、、 事件性、スリル、人間への洞察、最後のドンデン返し、などミステリとして面白い。ほんの少しだけ社会問題へ中途半端に首を突っ込んでしまった側面はあるけど、濃厚な記述と小気味よいテンポとに引き込まれる。 「解説」で椎谷健吾が指摘しているように、「フーダニット(Who done it):誰が」ではなく「ホワイダニット(Why done it):なぜ」を根本に置いて描いているところに後を引く読後感の秘密があるように思える。同じ姿勢で作品を紡いでいる作家といえば、『柔らかな頬』の桐野夏生か。 |