著者: | 山本 真司 |
読み: | やまもと しんじ |
題名: | 『会社を変える戦略―超MBA流改革トレーニング―』 |
出版: | 講談社現代新書 |
発行: | 2003/01 |
読了: | 2003/01/22 |
評価: | B: ★★★★ |
感想: |
架空の企業を舞台にMBA流の経営学の基礎を紹介する。 「競争原理・自由競争という考えは正しいが、それを実現するための場としての市場は必ずしも正しくない。市場は理想的な条件がそろったときにしか機能しない。しかし、現実の市場は情報の非対照性をはじめとして理想からはほど遠い。」「株主重視経営は間違っている。株式会社が株主や投資家と同じくらい重視しなければいけないステークホルダーは他に従業員、顧客、地域社会である」 といった力強いメッセージを伝えようとしている。社会全体の利益を考うえれば、計画経済や統制経済ではなく、自由経済が望ましい。しかし、だからといって市場にすべてをゆだねて「競争に勝ち残ったものが正しい」「需要と供給は均衡する、価格と品質は磨かれる」などと考えるのは短絡的であり、企業も消費者も株主も幸せにはなれない、という。ではどうすればよいのか? 著者自身はこの言葉を使ってはいないが、徹底して「フェアであること、オープンであること」だという。うーん、過程が非常に面白かっただけに新鮮味のない結論にややがっかり。 そもそも経営学の本なのだから、お門違いといわれても仕方がないが、ティーブン・コービーのように、経営者としての視点からではなく、平従業員の視点をもう少し取り込んで語って欲しいなぁ。 講談社新書にしては良質。 |