著者: | Barabasi, Albert-Laszlo |
読み: | アルバート=ラズロ・バラバシ |
題名: | 『新ネットワーク思考―世界のしくみを読み解く―』 |
出版: | NHK出版 |
発行: | 2002/12 |
読了: | 2003/02/20 |
評価: | B-: ★★★★ |
感想: |
人間関係、インターネット上のWebサイトのつながり、エイズの感染、細胞と人間の体全体、など様々な事象をたった一つの理論で説明できてしまうという。それがネットワーク理論。---- 意地悪く本書を紹介するとこうなる。好意的に紹介すると ---- いままで複雑怪奇に見えたりまったく関連性がないように見えた様々な事象でも「ネットワーク理論」の観点からもう一度見直してみると、驚くべき一貫性、論理性、共通性をもって明確にとらえることが可能になる。 個人的に参加している三森先生の勉強会で課題図書となったため、通常であれば手にしない本書も読んでみた。 本書で指摘されている個別の説明に関しては、それなりに「ふーん、なるほど」程度の感想しか持たなかった。これは、自分がインターネット上のシステム構築を普段の仕事にしていることと関係があるのかもしれない。しかし、著者がこの理論へ早くから着目し、(ややはしゃぎすぎのきらいはあるが)「ノード」と「ハブ」、「スケールフリーネットワーク」と「臨界点」、ランダム性と指向性、正規分布とべき分布など、対立項を提示しながらわかりやすく説明を展開していく点などは評価したい。本書が画期的だった点は個別の指摘や理論にはなく、既存の理論枠組み、思考方法などではミクロにしかとらえられなかったさまざまな現象をとらえる大きな発想の転換を提示したことにあるのだから。 ちなみに、本書がどの棚においてあるのか、書店でバラバラだったのも面白い。ビジネス書、科学、コンピュータ・インターネットなど、大手の書店(紀伊国屋、三省堂、ジュンク堂)で一致していないのもいかに本書が既存の枠組みから離れた地点にいるのか示唆している。そしてこれはAmazonのようなオンラインショップではなかなか分からないことでもある。 |