著者: | 酒見 賢一 |
読み: | さけみ けんいち |
題名: | 『陋巷に在り8―冥の巻―』 |
出版: | 新潮文庫 |
発行: | 2003/02/01 |
読了: | 2003/02/28 |
評価: | B: ★★★★ |
感想: |
まだまだ続く子蓉の媚に対する闘い。今度は九泉(冥界)に行ったり神様まで登場したり、しっちゃかめっちゃか。マンガっぽくなってきた。ただ、神様が登場したことにより物語に深み・奥行きが加わった。特にそれが顕著なのが孔子(に姿を変えた悪い神様)が語るすさまじい革命への思い。「革命・理想のためには人の命は失われてもしかたない」という師に対し「人の命はすべて同じように重い、目的が何であれ」という弟子。それ自体はよくあるパターンだが、こういう舞台設定もあったのかと新鮮な印象。緊張がピークに達した後の展開は頂けないが。 巻末の南伸坊による挿し絵(雑誌連載時の扉絵)も素晴らしい。とぼけた筆致の中に小説の世界へのいざないが巧みに織り込まれていてワクワクさせてくれる。文庫のカバーを彩る諸星大二郎もいいけど、こっちもまたいいなぁ。 |