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東 浩紀(あずま ひろき)

『動物化する世界の中で―全共闘以降の日本、ポストモダン以降の批評―

本のデータ
著者: 東 浩紀
読み: あずま ひろき
著者: 笠井 潔
読み: かさい きよし
題名: 『動物化する世界の中で―全共闘以降の日本、ポストモダン以降の批評―
出版: 集英社新書
発行: 2003/04
個人データ
読了: 2003/05/10
評価: B+: ★★★★
感想:

元々は集英社のWebサイトで企画実施された誌上往復書簡。サブカルチャーの立場からハイカルチャーの言葉と手法でハイカルチャーを間接的直接的に批評する親子ほどに年の離れた二人の対話。実際には東の言葉では「コミュニケーションというよりディスコミュニケーション」。

今目の前にあって体験できる現実と、今ここで起きているけど五感ではとらえられない現象と、過去に起きてどう解釈するかで今の自分を規定してしまう変化。これらをめぐる、ずれてはいるもののそのずれ自体にいみのある対立が語られる。

観客としては肩すかし。二人とも「あれについて話そう」と提案するだけで一回も応えない。質問や議論の内容ではなく形式や前提に怒って非難するだけ。
しかしそれぞれの読者のファンとして、それぞれに肩入れしながら読むと非常に刺激的。二人とも思い入れたっぷりに「個人的な悩みがいかに当時の作品と今の自分を作ったのか」を東は淡々と笠井は切々と語る。これを読んだ後もう一度それぞれの作品を読み返したくなる。

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