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見沢 知廉(みさわ ちれん)

『天皇ごっこ』

本のデータ
著者: 見沢 知廉
読み: みさわ ちれん
題名: 『天皇ごっこ』
出版: 新潮文庫
発行: 1997/07(1995/12)
個人データ
読了: 2003/05/23
評価: B: ★★★★
感想:

作者が刑務所に収監されている間に書いた短編の発展系。様々な形の天皇の愛され方を描く短編集。

刑務所に収監されている人たちにとって昭和天皇の崩御(死)と平成天皇の即位とは恩赦以外のナニモノでもなかった。死の知らせに嫌が応にも高まる期待、そしてそれがかなえられなかった時の落胆と逆恨み。
セクショナリズムによってどうしようもないほどバラバラになっていた成田空港の開港に反対する左翼各陣営が「天皇を倒せ!」のかけ声の元に一気に団結する。
金日成主席を敬い慕う北朝鮮国民。貧しくとも統率の乱れぬその姿に理想の皇国を見いだす右翼活動家、など。

作者自身は右翼を標榜するが「(左翼も含めて)みんな何だかんだ言って天皇を愛しているのね。愛の表現の形が違うだけで...」という本。パロディという形式は(それをとらざるを得なかった事情があるのかもしれないが)成功している。

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