著者: | 戸部 良一 ほか |
読み: | とべ りょういち |
題名: | 『失敗の本質―日本軍の組織論敵研究―』 |
出版: | 中公文庫 |
発行: | 1991/08(1984/08) |
読了: | 2003/06/19 |
評価: | B: ★★★★ |
感想: |
大東亜戦争中の日本軍の数々の失敗を組織に注目して分析したもの。作戦論、軍事史、国際関係論、といった視点ではなく組織のあり方に着目し、逆にそこから教訓を学び取ることを意図している。 実際の主要な作戦を分析した第一章と、海軍と陸軍の教育と人事を分析した第二章が一番素晴らしい。第三章は第一章の緻密な積み上げを台無しにする印象論推論一般論。 今まで大東亜戦争を反省的・批判的に取上げた書籍は「なぜ(今から考えれば)負けると分かりきっていた戦争に突入していったのか」という観点から書かれていた。本書はそれを意識した上で「始まりだけではなく運営にも反省すべき点が多い」「運営とは組織の問題である」という問題意識で書かれている。 戦争や戦闘から得られる教訓をビジネスの世界に持ち込む、というのはよくあるパターン。それらの繰り返しになっていないのは歴史学の手法を用いた堅実な資料分析があったから。くれぐれも第三章が残念。 |