著者: | 北村 薫 |
読み: | きたむら かおる |
題名: | 『六の宮の姫君』 |
出版: | 創元推理文庫 |
発行: | 1999/06(1992/04) |
読了: | 2003/06/24 |
評価: | A: ★★★★★ |
感想: |
再読。 卒論に選んだ芥川龍之介の「六の宮の姫君」誕生にまつわる不思議な言葉「玉突き、いや、キャッチボール」に取り組む。作者自身の卒論を世に出したかった、ちょうどこのシリーズの主人公が国文学を選考している本好き謎好きの女の子という設定にぴったりだっただけなのではないかと皮肉を言いたくなる。それほど探偵役円紫さんの影も薄い。 ところがそれでもなおこの作品のシリーズの一つであることとは否定できない。主人公が世の中の思い通りにならないこと、憎しみや悲しみや妬みなどの否定的な感情を少しづつ受け入れ認めていく課程が細やかなタッチで描かれており、ため息をつきながら読み終えることになる。 |