著者: | 姫野 カオルコ |
読み: | ひめの かおるこ |
題名: | 『サイケ』 |
出版: | 集英社文庫 |
発行: | 2003/06(2000/06) |
読了: | 2003/06/25 |
評価: | A-: ★★★★★ |
感想: |
小学生にとっての自意識と、それを言葉にできない主人公のいらだちと屈託のなさを見事に描く。 姫野らしいタッチで描かれる小学生ワールド。つぶ餡のなかに正露丸が仕込んである、といった感じの仕掛けは健在。一方、「わたしってこんなに世の中からズレてるの」という姿勢に自虐色がない分、いままでの作品と比較してストレートに心に響いてくる。猫の皮がはがれるチラリズムとでもいうべきスリルと色気とすごみが味わえる佳作。姫野が(やっと)本気になった!?と喜ぶのはまだ早い。後半ダレ気味になってしまう。ダレるのは読んでいる方の緊張感なので作者ではなく編集者の力量なのかもしれないけれど。 |