著者: | 大塚 英志 |
読み: | おおつか えいじ |
題名: | 『少女たちの「かわいい」天皇―サブカルチャー天皇論―』 |
出版: | 角川文庫 |
発行: | 2003/06 |
読了: | 2003/07/26 |
評価: | B: ★★★★ |
感想: |
昭和天皇の死を契機として今までとは違う方向に動き始めた日本のナショナリズムをお得意のサブカルチャー論で分析。天皇を「静かな森の老人」「無垢な存在」と捕らえ、新聞報道ではなく女性週刊誌や福田和也などの新右翼の言説からナショナリズムの新しい形を模索する。 雑誌などの連載をまとめたものであり、出版までの15年間の大塚のブレがそのまま正直に書かれている。自身もその列に加わった記帳、その場で覚えた奇妙な違和感、55年体制から抜け出せないでいる(そして誰からも見向きもされなくなっている)右翼、左翼の怠慢を責め、小林よしのりのいたたまれなさにも切り込む。 あ、ナショナリズムにこんな切り口があったのか、という新鮮な驚きと、「またサブカルかよ」といううんざり感がないまぜになる読後感。さて、自分はどういうスタンスをとるのか、それが問題。 |