著者: | Jill Andresky Fraser |
読み: | ジル・A・フレイザー |
題名: | 『窒息するオフィス―仕事に強迫されるアメリカ人―』 |
出版: | 岩波書店 |
発行: | 2003/05(2001/02) |
読了: | 2003/08/20 |
評価: | B-: ★★★★ |
感想: |
1990年代のアメリカのホワイトカラーの労働条件が悪化し、sweat shop = 搾取工場 = 女工哀史の世界と化していることを指摘。1990年代終わりから2000年代始めには(漫画の)ディルバートを笑えない状況になっているという。週60-70時間(12h-14h/day)以上の長時間労働、医療費補助や年金の大幅な削減、リストラ、繰り返される合併に伴う仕事の変化・負荷増加など。状況のレポートとしては豊富な事例と歴史的な変化やその経緯を集めて悪くないと思うが、ではどうすればよいのか、という提案が乏しい。 この本自身の内容を評価するならCだが、読書の前後にスパイスが効いていたのでB。この本を読む直前に読んでいたのはひたすら経営者あるいは株主の視点から最適化効率化合理化を迫る『「勝ち組」企業の七つの法則』。180度違う観点からの描写に非常に大きな違和感を覚えた。そしてこの本を読んだ直後に起きたのがグループ会社の経営破綻とNTTによる親会社への資本注入。経営と労働者の幸せな結婚って何?と考えてしまった。 この本に出てくる人々の基本的なスタンスは「私は何も悪いことはしていない。今まで一生懸命働いてきたのに、なぜこんな仕打ちを受けなればいけないのだ」というもの。「その通りだ」とも思うし「まだそんなこと言っているのか」とも思う。 |