著者: | 夏目 漱石 |
読み: | なつめ そうせき |
題名: | 『こころ』 |
出版: | 新潮文庫 |
発行: | 1947(1914) |
読了: | 2003/09/13 |
評価: | A: ★★★★★ |
感想: |
素晴らしい。美しい。落ち着いた真摯な思いがじんわりと心に沁みいってくる読後感。 個人の意志。周りの期待。人は何のために、誰のために生きるのか。田舎青年と都会老人。実父の危篤よりも先生の危篤を優先させた私。べたべたでダサい田舎の両親とクールな先生。個人的な理由による自殺を明治という時代に報じた先生。世の中変えられると思っている私と個人ですら変えられないと思っている先生。これほどまでに多くの対比を露骨にではなく緩やかにしっかりと提示する力量はさすが。抑制のきいた乾いたタッチでぶよぶよとした醜悪な葛藤を提示する筆さばきもさすが。 |