IINDEX
バンコク会議とは? にゅうずれたあ目次へ
<投稿>
第4回バンコック会議対しての提言メモ
内坂 徹(医師・JOCS常任理事)


#1 国連プレミアム宣言
国連はプレミアム宣言で次の五つの大きなテーマをかかげました。
@世界の平和促進、軍縮
A地球環境の保護
B開発の促進と貧困の撲滅
C民主主義の進展と人権
D弱者保護
この5つの項目とも21世紀の世界を考えるにおきとても重要であります。
どの項目も人類が全力投球して取り組むべき課題ですが、日本の小さな一つのキリスト教系ミッションであるNGO,JOCSがどれもこれも取り組むことは不可能です。国連のテーマから言うとDの弱者の保護、これがJOCSにたくされた大きなミッションの分野ではないでしょうか。
私達の仕事が世界にある様々な問題の中でどこに位置づけられるかという自己認識をする必要があるためです。

#2 現代の問題のおおまかな分析
(JOCSの小さな歩みを通して)
JOCSがアジアの国々にワーカーを送りだしてから40年が過ぎました。1960年代、日本はまだまだ貧しく米ドルを手に入れることさえ大変な時代でした。その時代に何とか米ドルを手に入れて、JOCSは梅山、岩村御夫妻をインドネシア、ネパールに日本からの海外医療協力者(メディカルミッショナリー)として送りだしたのです。
この40年間の変化は著しく、今では年間1000万人以上の日本人が海外へ出かけていっています。日本人が行っていない地域はほとんどない状態にまで達しました。アフリカの奥地、アマゾンの奥地、北極、南極いたる所日本人が訪れ様々な体験をしています。
20年前には南北問題と共に東西問題は世界最大の難問でした。しかし、ベルリンの壁が壊れるやイデオロギーの違いで戦争を行い人類を全滅へと追いやるというリスクは幾分小さくなりました。
南北問題はどうでしょうか。
アジアや南米諸国において中進国といわれる国々が台頭してきて国連においても経済においても発言力を強くしてきました。しかし、アジア、アフリカの最貧国といわれる国々は、増々貧しくなって行きました。これらの国々で一般の人々が豊かな国の人々の生活水準に追いつくところは幻想となったのです。
先進国といわれる国々から見捨てられ、自らの政府からも見捨てられている人々がどれほど多くいるでしょうか。JOCSの今後10年のミッションは、この最も貧しい国々のpoorest or most neglected peopleにあると思っています。

#3 poorest peopleのニーズとは?
そのニーズを考える時、様々なニーズがありますが、そのニーズをダイナミックなものとして捕える必要があると思います。
そしてJOCSもそのニーズに対して柔軟に対応する必要があります。
具体例を言いますと、日本の戦争責任という視点(戦争の罪、贖罪という視点)から協力する国を決めるのではなくて、最貧国、最貧層の人々に焦点を当てるとすると、それは南アジアであったり、アフリカであったりすると思います。




最貧層の人々が医療物資を必要とするならば、それを送っても良いのでは? 今までの不文律であった人を送って物を送らない、紛争国には人を送らないといったものを、この際すべてとっぱらってよいではないでしょうか。
JOCSだからキリスト教団体だから医療協力団体であるから神様の召命を受けてすべきことがらがあるように思うのです。「ChristianityとMedicalという二つの視点を大切にする」ことから考えるとハンセン氏病、T.B、H.I.Vスラムの人たちの健康保持、障害者のリハビリ等みんながやりたがらないしかしニーズのpriorityが特に高い所にfocusをあてていくことが今後のJOCSの方向ではと思っています。

#4他NGOより学ぶこと
私の所に国境なき医師団(MSF)や世界の医師団(MDL)のニュースレターが毎月送られてきます。MSFはある意味では世界市民からの支援を受け世界80カ国以上で活動が展開されています。世界の紛争地(セルビア、チェチェン、アフリカ諸国等)はもちろんのことタイのカレン族難民キャンプ、カンボジアの結核に対してのDOTSプログラム日本の釜が崎(TBが異常に多い所)にさえそのプロジェクトを展開しつつあります。
日本の若い世代を成長させるために教育プログラムとして「国境なき学生」「フョトジャーナリスト費」「国境なき子供達」世界中で数百万もいるストリートチィルドレンに対して日本の青少年が関心を持ち、交流し共に成長するためのプログラムを展開しています。
MSFの活動から学ぶことは多くありますが、JOCSとは何か?どこにfocusをあてるべきかを考えると私はやはりChristianityであると考えています。
第2回バンコック会議の時にカウンターバートとしてのアジア諸国の教会に対する批判が多くだされ真剣な討論がなされました。問題があまりにも多いアジアの教会にいつまでもJOCSが関わっている必要ははないのではないかという強い意見もありました。その時は隅谷前会長からの重い提言がありました。様々な問題、矛盾をアジア諸教会はもっているでしょう、しかしその相手組織の弱さを含めて共にその重荷を負いつ続けていくべきである。
日本の教会から基本的に支えられているJOCSはアジア、アフリカ等の教会とつながり、様々な問題を乗り越えて、その相手組織の弱さも共に担いつつ、その国のpoorest most neglected peopleに仕えて行く所に逆にJOCSの特色と大切な使命があるように考えます。
共に生きることは本当はできないかもしれない。ワーカーは様々な困難に直面し苦悩します。その中でワーカー自身が変えられ、そして私達自身も変えられ、そしがまた日本の教会をも変えていく原動力になるのではと思います。

まとめとして
#1 キリスト者の団体として先駆的仕事をしていくこと
#2 焦点はpoor most neglected people
#3 アジア、アフリカのキリスト教会との連携
#4 医療における特異的分野(T.B ハンセン氏病 HIV等)に力をそそぐ

ご意見、ご批判こころよく受けます。







編集後記

湿度が下がり、何をするにも気持ちの良い季節となりました。
9月15日に本準備委員会が開催した「ひとこと言わせてJOCS」では52名の方が参加して下さり、いろいろな声、ご意見、提案が出され、感謝です。JOCSが今まで築いてきた実績を実感すると同時にこれからのJOCSの課題、方向性をバンコク会議を通じて具体化できますよう準備を進めていきたいと思います。
今号では、内坂氏からの投稿記事を掲載させていただきました。ご投稿ありがとうございます。提言メモではJOCSの役割がをいろいろな方向から示されています。皆さんはどのようにお思いになりましたか。
本準備委員会、「にゅうずれたあ」に対する皆さんのご意見ご感想をお寄せ下さい。
                           
(担当:濱野、塚本、岡崎)     
                       


目次に戻る

ページTOPへ