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バンコク会議とは? にゅうずれたあ目次へ


3.実践的先導性
JOCSの前史であるが、1938年、39年に中国へ学生を中心とした医療班を派遣したが、彼らは非常なショックを受け「同胞の犯した罪を身を持って償わなければならない」こと実感し、「理論に基づく技術がなくてはならない」ことを学んだ。
JOCSは1960年に設立申請が出され、62年に法人の認可を受けたが、認可までの時間が2年もかかったのは、日本が貧しいのに何故外国へ医師を送るのか理解が得られなかったためである。初代ワーカーの梅山猛医師は、当時外貨持ち出し制限もあり、持ち物を売りながら生活費にかえて仕事をされ大変なご苦労をされた。
JOCSがこれまでに取り組んできた分野は、始めは結核医療、そして乳児小児の栄養、PHC、ハンセン病、障害分野と移り変わり或いは広がりが見られるが、それは、より現地のニーズに即したものに入っていったからである。途上国で充分なされていない、国が本腰を入れていない分野に先ず取り組んできた。結核やハンセンは今では国や国際機関が相手国と協力して取り組んでいる。現場のワーカーが働きの中で見出したものが理念としてフィードバックされ、そして更に理念を目指すワーカーを生んできた。それがJOCSの先導性と言える。組織が小さく或程度柔軟性があったため可能であったと思われる。クリスチャンの伝統が生かされた仕事であった。

4.JOCSの日本のキリスト教界の中での役割
近代の日本社会においてキリスト者が果たしてきた先導的役割の歴史的、地理的延線上にJOCSは存在している。孤児院、女子教育、生活共同組合、療養所、婦人運動、障害者や被差別者への運動も、キリスト者が最も恵まれない人々に目を向けて切り開いてきた。JOCSは日本における数少ない真の超教派の組織である。JOCSはJCMAから生まれたキリスト者医療従事者を中核とする組織であり、日本の教会の証のわざである。

5.特徴のある組織 その理由と限界
(1)理念による特徴
自立を側面から支援する。そこのスタッフを強める協力が正攻法であると考えてきた。
(2)歴史的経緯による特徴

相手団体の招き、要請により派遣し、そこを強めていくというのがJOCSのやり方だが、それだけでよいのか。もっと向こうの人と共に生き、互いに成長するために色々なパターンがあってよいし、柔軟な対応があってもよいのではないか。どの理念がその時代に重要であり、また重要ではなくなっているかを常に議されていないと人を送るプロジェクト方式で終ってしまう。
繰り返し理念の検証が必要である。ディスカションと時代の中でこれまで不文律とされてきたことも変えていくことができる。何を突き破り、保持していくのか議論が必要である。
(3)キリスト教的特徴
聖書の目指しているもの、イエス様の目指しているものがJOCSの中でも求められている。
(4)医者が作った組織
作ってきた人が身をおく組織形態、つまり医者の世界の組織形態を反映している。
(5)沢山の子どもを産んできた組織
JOCSの関係者が作った組織は思いつくだけでも幾つもある。
・ アジア協会アジア友の会:村上公彦氏
・ AHI(アジア保健研修所):川原啓美氏
・ PHD協会:岩村昇氏(草地氏)
・ 風声寮:伊藤邦幸氏
・ ペシャワール会:中村哲氏
・ ACEF(アジアキリスト教児童基金):船戸良隆氏
・ どさん子海外保健医療協力会:楢戸健次郎氏、高橋一氏
・ 王滝国際協力会:宮崎亮氏、安子氏
・ ライフリバー:畑野研太郎
など。 これはワーカー方式などJOCSの働き方がこういう結果を生んだのだろうか、他のNGOではあまりみられないのではないか。

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